「魔法の万年筆」パルコ劇場(ネタばれあり)

スマ兄さんたちの中では、ゴロちゃんの芝居がいちばん好きなごく少数派です、すみません。


脚本演出を担当されるラッパ屋(って今どうしてるんだろ)の鈴木聡さんは、ウェルメイドなんだけど大雑把な筆致の方。とはいえ、ゴロちゃん&周囲を固めるのは屈指のベテランさんばかり(久世さんに山崎さんに元サンシャイン組にともさか旦那に……)。期待していいのかちょっと微妙だったのですけど……観ても微妙(笑)。



舞台はNY。ある5ドルの万年筆を手に入れたことで、急に筆がすすみ、ベストセラーを量産するようになった作家・パーカー(ゴロさん)。彼は、その万年筆を売った恋人デニス(西牟田恵)と婚約しながらも、自分の将来の保身のために文豪モンブラン山崎一)の娘セーラー(久世星佳)と結婚してしまう。しかし、3年後、頼みの万年筆を紛失してしまいスランプに。その「魔法の万年筆」はセーラーの兄でやはり売れない作家だったパイロット(河原雅彦)の手に渡っていた……。


登場人物の名前がすでに苦笑ものですが。びっくりしたのはですね、河原さん(ともさか旦那)がゴロさんより小柄だったこと(笑)……ってそこかよ!んーん、何だかとっちらかって終わったカンジです。だってコメディなのに最後、万年筆を取りあって、パイロットがパーカーを射殺しちゃうんですよ。で、ゴロちゃんは死んだはずなのに、起き上がっていきなり歌いはじめるんですよ(ゴロファンへのサービス?)。何のカタルシスもなし。場面場面の役者さんの絡みを楽しむ以外にはあまり術はありませんでした。あと、暗転中に流れる状況説明のミュージカル調の歌は、ちょっとどうかと思いました。恥ずかし。


久世さん面白かったなー。やっぱり男役極めた人は、コメディエンヌとしての腹のくくり方が違いますね。セーラー(とパイロット兄妹)がすべて浚っていた印象です。あとやっぱり西牟田さんと、そのお父さん役だった小林隆さんの芝居が好きだということを再確認。


ゴロさんはどんどん舞台人としての風格を増している、と思う。今回は日本人の書いた赤毛モノだったけども、スマさんの中で翻訳劇をやれるのは彼だけだと思う。最後の黒のトレンチ姿がカッコ良かったです。でもオールバックはオッサンぽいので却下で(笑)。カーテンコールで彼が客席に手を振ると「きゃあああ!」という歓声が……そういうの萎えるんでナシでお願いします。


その大雑把さも含め、 同行人だったオカンが「これむしろ宝塚でやったらいいんじゃな〜い?」と言ってました。確かにバウホールの小品っぽいですね。宝塚でちゃんとミュージカルにしたら結構いいかも。