読書の秋

ですが、おもしろかったのまとめてどーん。下にいくにつれてマニアック、かも(笑)。カツンと関係ないし、どうぞスルーしてください。




告白

告白

けっこう評判になってますね。今年の「このミス」何位かな?いやぁムチャクチャ面白い(笑)!嫌〜〜〜〜なお話すぎますし、荒唐無稽な部分も多々ありますが、語り口がとても上手いので最後まで一気。最後あ然(笑)。丁寧で冷静な口調でとんでもないことを語る先生のキャラが凄い。第二章の語り手の女子中学生は、ちょっと前の谷村美月ちゃんっぽい。


三月の招待状

三月の招待状

こちらも一気読み。少しステレオタイプに分類しているけど、30代半ばの「ワセダあたりを出た女性たち」のリアルがひしひし(身につまされます。わたしは完全にセンスレス・麻美タイプです)そして角田氏は相変わらず観察眼が絶妙に意地悪だ。ご本人は可愛い雰囲気の方なのに(笑)。


犬身

犬身

前にちらっと触れた本。「種同一性障害」で自分は犬になりたい、と思う房恵が、実際にフサという犬に「種転換」する話です(荒唐無稽だが、読んでいるとすんなり)。作者の、そして登場人物の、犬への愛にむせること確実(笑)。フサの飼い主・梓の母親と兄がすごすぎる。そしてたぶん現実にもいそう。悪魔に魂を売り渡したフサの、その魂をめぐるラストの展開が少し不鮮明にも思いましたが、この終わり方でほっとしたのも事実。


企業力とデザイン

企業力とデザイン

前、ブランドコンサル系のプレゼンをしたときに、いきなり先方の偉い人が出てきて「外のヤツはブランドブランドって涼しい顔して言うけどな、ブランドなんか明日のおまんまになんねぇんだよ!」と怒鳴られたことがある身には、うらやましい本ですね(だったら最初から頼むなよと思う。ああムダ骨)。とらやにしろ、栄太郎にしろ、タカタにしろ、企業力(老舗力・潜在力)があるから、ブランドをまっとうに再構築すれば売り(おまんま)につながる、という幸福な事例ばかりでちょっとズルイ気もしますが。でも、企業や商品にとって「コスト効率」「直近の売り上げ」が第一、長期的ブランドのために投資するという視点はこの先ますますおろそかにされていくだろう今、こういう本はもっと目に留まってほしいなと思うわけです。……とか難しく考えなくても、ソロモン流的読み物として楽しいですよ。とらやのアートディレクション、美しい!タカタのロゴマークも好きだなぁ。


磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ

磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ

建築家の帝王・丹下健三に挑む、その弟子だった磯崎新。あの(悪名高きデザインともいえる)都庁コンペにエントリーされた磯崎事務所のプレゼンテーションまでの日々をはさみこみつつ、日本の建築史や、著名な建築家たちの仕事や思想がていねいに語られていきます。というと堅くて難しそうなんだけど、著者の語り口にふしぎな軽やかさ(ときどきオヤジギャグ)があって、結構すいすい読める。なぜそのデザインでその建物は建てられているのか。理屈をひもとく部分はワクワク。主人公の磯崎氏の人柄自体も興味深いし、「天才のプライド」を持つ建築家たちのかけひきも人間クサイです(笑)。磯崎氏の都庁案が実現していたら……だ後にあの威圧的な建物を見ると思う。