「来来来来来」劇団、本谷有希子@本多劇場

りょうを迎えての新作。彼女が演じる蓉子は、元・自衛官。嫁いだ先は田舎の冴えない揚げ麩屋で、嫁いで1ヶ月で夫に逃げられる。いまは不気味な野鳥園(鳥小屋?)に入れ込む鳥ばばぁの姑・光代(木野花)や、鬱屈している小姑・千鶴子(松永玲子)にけなされ虐げられる日々。それを「逆境は乗り越えてこそ」と考えて受け入れるドMな蓉子を近所のいじめられっこ女子高生・みちる(佐津川愛美)は心配する。




女性6人だけのキャスト、というのは本谷さんに合っていますが。設定も、麩の揚げ場を効果的に使う演出もすごく面白いのですが。みなさん好演で2時間あっというまなのですが。ですがですがってアレですが(笑)。……前半めちゃめちゃ面白いのに、最後に向かってトーンダウンしてしまう、のはいつものこと、かなー。結局、自分大好き女の、肥大した自意識に「ヨシヨシ」(まさに今回はリアルにそうなっていた)するお話っていうことですよね。うーん。途中で蓉子さんが不幸のあまりいちど突き抜けちゃって、へらへらケラケラしてしまって、千鶴子さんに「あの子は底なし沼」と恐れられるシーンがあるのですが、そのへんがよかったなー。あの「底なし沼」なキャラクターで突っ走ればモンスター女になって面白かったのに。


マツナガさんはいつどんなときも本当にお上手。あと、「便所」と呼ばれる男を拒まない女・ひろ子(吉本菜穂子)がよかったです。あのユルい明るさは吉本さんの本領発揮、といいますか。りょうさんに「元自衛官」で「逆境に耐えるのが趣味の女」をアテ書きしたのも慧眼だなぁと思いました。


さて、モトヤさんは、永作さんとかりょうさんとか、どっちかというと「さばさばボーイッシュ」系の人をヒロインにして、ウェットな話とのバランスをとっているように思えるが、もっとドロドロ系の人(女性に支持の低そうな女優)を起用したらどうかなるのなと思ったりします。たとえばヒロスエさんとか、長澤まさみちゃんとか、ホリキティとか。そっちの方がもっとイヤ〜な感じになって面白いのではないかな(笑)。いや、今回のみちるちゃん(佐津川さん)のイヤな感じ(いじめたくなるっ子オーラ)が、すごく良かったので。