あかいくらやみ/いやむしろ忘れて草/偽りなき者

長塚さんの阿佐スパ名義でのコクーン芝居「あかいくらやみ」。序盤、予習がないと難しい人物名と関係性が????になるけれども、ざっくりと敵味方(すまん)が分かってきてからは、時空をいったりきたり自由自在なエンゲキならではの翻弄されかたが気持ちよい。「難解」と評判だけど、そこまでではないし、リクツが辻褄が・・というものではないと思うし。中村まことさんや小野武彦さんや小松和重さんなどの名優がまさにくらやみにとけ込んで地道に支えている中(大鷹さんの腰の座った存在感と口跡の良さは図抜けてカッコイイ)やはり主役は圧倒的に白石様と小日向様。中山さん伊達ちんの阿佐スパ組にちゃんと見せ場があったり、長塚さんがコメディリリーフとして楽しそうなのも阿佐スパ名義らしく、いい。主役のオグリッシュと原田さん、数役をいったりきたりする原田さんのいい意味で淡白な芝居がほどよく好み(これを重く「演じ分け」とかされるとイヤ味なので)。しかしオグラーが結構いるようで、私の隣のひとなど2時間半寝っぱなしで(もたれんなよ俺に!)時々オグリッシュのパートだけ起きてオペグラ鑑賞してカーテンコールで大拍手・・ってさ!!どんだけリピートしてるのか知らないが、おぐりさんに失礼ではないですか。秋にコクーンでやる「かもめ」@とーまくん×ケラりーの氏のちらしが入っていたけど、そりゃケラさんがついったで客の質について悲観するよね、こういうのまのあたりにすると。
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/13_akaikurayami.html


前田司郎さんの「いやむしろ忘れて草」。前田版「若草物語」。いやむしろ円形劇場残して草、だったりするのだが(面白い劇場がまたひとつ消えてしまうう!)、1時間20分というコンパクトな時間の中に、終わりのない負い目をじりじりと背負うひとのじりじりとした悲しさがつまっていて、久しぶりに芝居で泣いた。カーテンコールで本当に4人がシャイで仲良さそうで、また泣いた。タイトルと芝居の距離感も素晴らしい。こんなのが生きていてすみませんという思いでずるずる生きていて、写真を撮られることが何より大嫌いな(自分が客観的に残るなんて本当に嫌)自分にはぴったりすぎる。みつしまひかり(三女)はやはり天才。そしてそれ以上に福田まゆこ(四女)が天才。ふたりの天才をサラッと支える歩姉さん(次女)の巧さも。これだけの巧者に囲まれると、菊池あっこさん(長女)はちょっと分が悪いかなー。長女だけちょっとキャラクターが定まってなかった。でも「マッシュ」は名雑誌だと思います、特に2号は最高だった。ファッション師匠でもあります(オーバーオール着たくなりますチビすぎて着られないのに!)あっこ編集長。
http://www.nelke.co.jp/stage/iyamushirowasuretegusa/

菊池亜希子ムック マッシュ VOL.2 (SHOGAKUKAN SELECT MOOK)

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「偽りなき者」は、話の怖さはもちろんのこと、女の子がすごい。4才?5才?にして表情の色気と闇が恐ろしいぞ。オトナがいちばん理性のないコドモ、という設定が実は冒頭からちゃんと提示されているあたり、本当に巧い。そして北欧の小さな村の重ったるい絆と生活感がわかって興味深い。で、いちばん気になったのは主人公の息子役の子がスカーレット・ヨハンソンにしか見えないことです(こら)。明らかに「人間には3人のそっくりさんがいる」のうちの1人だ!!
http://itsuwarinaki-movie.com/