「クレブス・ペルオスの迫害と恐怖」城山羊の会@駅前劇場/「透明人間」唐組@三鷹の森じぶり美術館横木もれ日原っぱ

久しぶりに1日で芝居のダブルヘッダーをしました(元小劇場オタクです)。城山羊の会は、有名CMディレクター・山内ケンジさんの演劇ユニット。唐組はいわずとしれた唐十郎さんの劇団。キャリアもテイストも対極です。




山内さんの方は、意図的なのか不明なのですが、ベタな中世の青ひげ物に、すこ〜しだけナンセンスが入る、ゆる〜い進行。とてもテンポが散漫で、装置も演出もフラットで、山内さんのCMにある毒が惜しみなく出るわけでもなく、かといってCMと真逆のロマンチストぶりを発揮するわけでもなく。お客さんから見えない位置にしゃがんでの芝居を延々10分以上続けるなど演出上のミスもあり、正直まだ発表会レベルだと思いました。役者さんも、ベテランの原金太郎さんがいなかったらどうなっていたことか。あ、ムダに二枚目な(笑)大沢健さんは面白かったですね。


唐さんは相変わらずハイテンションですね。今回の絡み合うモチーフは「狂犬・水中花・透明人間」でしょうか。テントで2時間座って足痺れっぱなしだし、水だか唾だかどんどん飛んでくるし、意味まったく分からない破天荒な展開なんだけど、翻弄されて頭グルグルしてそれが気持ちいい〜という(浅い観方ですみません)。最初観に行った頃はこの独特の雰囲気になじめなかったところもあったけど(連れてってくれる人とのその後の飲みの方が楽しみだった(笑))、最近は役者さんのクセも分かってきたし、常連気分で楽しんでます。驚いたのは、客席に若いオシャレな女の子がとても増えてること。唐さんの「かわいいオジさん」ぶりが人気なのか(笑)?役者さんでは、天然ボケ二枚目の丸山厚人さんに大注目です。


別に難解なものは好きではないし(むしろ逆です)アングラ好きでもないけど(むしろ逆です)、芝居って、ただの一枚の板空間なのに何でこんな気持ちになっちゃうわけ〜!というのが醍醐味なので。それが演出の工夫でも、台詞の美しさでも、役者さん同士の丁々発止でも何でもいいのだけど、この日の2作品は、その「かきたてられるイマジネーションの量」があまりに対照的で、その意味で面白かったです。いや、単にハズレとアタリ、っていうだけなんだけど(笑)。