「シャドウ」道尾秀介

シャドウ (ミステリ・フロンティア)

シャドウ (ミステリ・フロンティア)

地元の本屋で何故か平積みだったのと、フロンティアシリーズには傑作も多いので。たぶん今年の「このミス」で上位にくることでしょう。トリック主導のミステリは「人間の描き方が弱い」と言われ、人間ドラマとして優れたものは「トリックが弱い」と言われがちな中、その両方ともバランスよし。知識の披露も文章の書き込みもほどよい抑制が効いていて、こういうのを「リーダビリティが高い」っていうのですね。結末の割に作者はあまり「優しい人」じゃないんだろうなぁと思うんですが(笑)。




前にAくんを取り巻く状況を皆さんが心配しすぎることを「負のスパイラル」と書いたんだけども、この本で、心理学的には「確証バイアス」と呼ぶらしいのを知りました(笑)。「ある人が何かを確信してしまっているときに生じる。その人は周囲の状況から自分の状況に合致するものだけを集めようとし、また逆に反証となる証拠の収集は避けようとする」……まあそんな大層なものではないっか。それも今は昔の話(笑)。


個人的には、「確証バイアス」にとりこまれないよう努力?してた不健康さより、今の方がずーっとスッキリです*1

*1:あとは、いわゆるウラ掲示板を読むのをいっさい止めたからかも。本当にスッキリした。