「写楽考」シスカンパニー・プロデュース@シアターコクーン

伊之(堤真一)と勇介(長塚圭史)は、同じ長屋に住む浮世絵見習い。性格も考え方も真逆な2人が、1人の女・お加代(キムラ緑子)と関係を持ち、そのいざこざから伊之はお加代殺害の罪を着せられて逃亡。10年後、「喜多川歌麿」として活躍する勇介のもとに伊之が現れ、逃亡中に描きためた自分の絵を見せる。居合わせた蔦屋(西岡徳馬)がその才能を認め、伊之はお尋ね者故に「東洲斎写楽」という謎の絵師として活躍しはじめるが……。彼らを見守る十辺舎一九(高橋克実)を語り部に、伊之と勇介の、芸術家として、人間としての確執が描かれます。矢代静一氏の原作を、鈴木勝秀脚色・演出で。この掛け合わせも、配役も楽しみでした。




コクーン、大きくないですか?と正直思いました。これ、もっと小さな劇場で密度濃く観たい、なぁ。鈴木さんはストイックな(ソリッドな?)演出や美術を好まれる方ですが、コクーンのサイズで、かつ割と観念的な独白が続く脚本で……だと厳しいかもしれない。堤さんの華や、カッツミーの奮闘をもってしても。このストイックさ、成功したらかなり痺れる試みだったと思いますが。


あと、せっかくの役者さんを揃えながら、独白が多いというのもあって「絡みの妙味」を感じられなかったのは残念です。伊之を支えるお米(七瀬なつみ)の浮き方も気になったし、西岡さんは相変わらず絡みづらい独特の調子の人だし(笑)。何より、堤・伊之に対抗するだけの器を長塚・勇介が出せなかったのが……役者の長塚さんも大好きなんだけど、時代物が似合わないスタイル含め(笑)これはミスキャスト。クールで屈折した勇介、いちばん惹かれる人物だったのですが。


この時代や物語には大変興味があるので、矢代氏の原作を読んでみたくなりました。あとコレ意外と面白そう!