「犬は鎖につなぐべからず」ナイロン100℃@青山円形劇場

今年はご自身の新作は予定のないケラ氏。代わりに最近ブームらしい(はげちび祭でも選んでましたし)岸田國士氏の一幕戯曲を7本、コラージュした新作が登場。休憩10分をはさんで3時間、相変わらず辛抱を強いますねナイロンは(笑)!




芯になるのは、英語教師夫妻(大河内浩/村岡希美)の犬が逃げて近所に悪さをする騒動が起きる「犬は鎖につなぐべからず」と、隣同士の夫妻2組(みのすけ緒川たまき藤田秀世新谷真弓)の機微を描いた「隣の花」の2本、でしょうか。


「ナイロン面白いからみにいこーよー」というノリで行くと、今回はしんどかったかも。じっくりと退屈寸止めの台詞劇を味わうつくりです。ドライな視線の岸田氏戯曲、わたしは好きですが、眠くなるひともいるだろうな(何人も見かけた/笑)。円形劇場の緊張感も加味されて、役者さんたちは相当プレッシャーがあるのではないでしょうか。織り込まれた作品の中では、久しぶりに再会した旧友同士の駆け引きを描いた「屋上庭園」が、植本潤くん(うわ〜久しぶりだ!)の好演もあって印象に残りました。


当時の美しく古典的な台詞を、きちんと感情を込めて喋るだけでも凄いと思うけど、さすがナイロンの役者さんだ。特に女優陣はさすがとしか……(おまけに皆さん美しい!)。松永玲子さんと村岡さんの素晴らしさは言うまでもなく、同行人いわく「新谷さんっていちばん上手なんじゃない?」って鋭い!これだけの女優天国の上に、植木夏十さんがどんどん伸びてるもんなー。一方で、客演の方々はちょっとシンドイ部分もありました。すごく空虚に聞こえる喋り方のひと(誰とは言わない)もいたし。頑張ってるのはわかるだけに残念だ。


ナイロンはいつも視覚センスに優れている。今回も豆千代さんの衣装からヘンなマンガまで、楽しませていただきました。あんなお着物一度でいいから着たい!!!


次回のナイロンは冬のようです。秋にケラ×古田新太っていうのがチラシにありました。うひょ。坂東三津五郎×本谷×倉持っていう凄い組み合わせも発見。すんばらしく見たい!あと、元ジョビジョバの六角さんが客席にいらっしゃいました。全然昔と変わってない。円形に「Monkey Circle」をドキドキ観に行った頃のことをキューンと思い出す。今と同じように面倒で楽しかったな、こっちの6人組狂いだった日々も(笑)。