「ア ヒ ル と 鴨 の コインロッカー」@恵比寿ガーデンシネマ
一応ネタバレしてないつもり、です(笑)。
仙台の大学に入学して、一人暮らしを始めた椎名(濱田岳)。アパートで引っ越しの荷物をほどき、段ボールを捨てようとしながらボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさんでいた彼は、後ろから「ディラン?」と声をかけられる。それは隣人の河崎(A太)だった。そして河崎はいきなり椎名に「広辞苑を盗みに本屋を襲わないか」ともちかける。驚く椎名に、河崎は、2年前にはじまった「友人である琴美(関めぐみ)とブータン人留学生・ドルジ(田村圭生)をめぐるお話」を始める……。
ミステリーの構成、以上に、原作の雰囲気や空気感が損なわれていないことに感激しました。この映画に「否」という人がいたら、それは映画に対してではなく原作の「伊坂ワールド」に対しての拒否感ではないかな、と思う。むしろ、映画ではその臭み(現実離れ感)を和らげて万人に受け入れられるように仕上げてあるなと思ったほどです。
なんというのかな〜……(筋は面倒だけど)気持ちいいほど明解。とにかく、気持ち悪い部分がいっさいなくて、芯が通って気持ちいい。椎名の存在は、原作以上に「他人の物語に巻き込まれた人」になってますね。だから伊坂さんも絶賛しているように「椎名のモノローグ」手法は使わなかったのではと。そしてだからこそ、ずっと「傍観者」だった彼が、最後に少しだけその物語に関わる瞬間が感動的なんだと思う。原作では椎名の行動ではない場面だったのですが、その変更はとても腑に落ちるものでした。そして、監督が唯一加えたという「空白の2年間」を埋めたA太の1シーン。短いけれど素晴らしかった。あ〜とにかく見て(笑)。
キャストは椎名と河崎コンビを決めた時点で、もう大勝利なのですけど(あのキャラクターを背負えるのは内も外もA太だけだ!)、まっすぐな琴美ちゃんも、A太の友人役の松田龍平くんも、物語を外から支える麗子さん(大塚寧々)も、イメージ通りすぎて。
残念だったのはただひとつ。原作に出て来た猫「シッポサキマルマリ」がカットされてたことです(笑)。
舞台挨拶。主な出演者全員が口べたで、素晴らしき盛り上がらなさっぷり(笑)。これ見たら、あかにしくんなんてしっかりしすぎでつまんないくらいヨ(笑)。仕切りも良くなかったけども、それをフォローしようという空気一切ナシの主演コンビ&ヒロイン&りゅーへいくん(に至っては、声小さすぎて何喋ってるのか聞こえません)に爆笑。 濱田くんがしどろもどろの時には、肩叩いてニヤニヤしてたA太が、自分の番のときは「……」になってるのにも爆笑。それで静かな空気をもてあましたのか、急にデッカい声で「ああ〜〜〜もう!何?ですかね!?」とか雄叫び?をあげてるのにも爆笑。……あ、もちろん生のかっこよさは比類ないものでございました。ある程度想像してたけど、それ以上に顔小っちゃ……。
- 作者: 伊坂幸太郎
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