「ゆらめき」ペンギンプルペイルパイルズ@吉祥寺シアター

倉持さんのスタンダード、という印象の一作です。




元スタイリストのわたる(坂井真紀)は、久しぶりに再開した仕事で、カメラマンの助手・江尻(近藤智行)に一目惚れされる。その話を夫の進(戸田昌宏)や友人の仙波(玉置孝匡)、塔子(ぼくもとさきこ)の集まるパーティで話したところ、進は異常な反応を示す。「ダンナがいる」とあっさり断ったというわたるだが、江尻と何故かその友人の朝比奈(小林高鹿)までもが、ストーカーよろしくわたるのマンションに押しかけてきて……。


他愛のない日常のハナシ。でも、そこに出てくる人間が、ひとつネジがずれていたり、偏質的だったり、神経質だったりするせいで、どんどんねじれていく(ゆらめく)様が面白いのです。ひとつひとつのエピソードはありえないけども、完全にありえない、ともいいきれない微妙なリアリティがあったりして。鎌倉に執拗な執念を燃やすわたるが、最後、鎌倉行きを進にキャンセルされて切れるあたり、なーんかわかるわ(笑)。鎌倉の象徴?としてロミコンフィチュ−ルが登場するの、秘かにウケました。


セット変換なし、の中で、とにかくガンガン人が入れ替わり立ち替わりして、細かく人間関係がつくられていく感じ、めんどくさいと思う人にはめんどくさいだろうな。でも私は好きです。役者さんも、坂井さんはじめ皆さん好演。今までに比べると地味な役かな、と思っていたぼくもとさんの最後の哀しさに、ぞくっと来ました。