「死ぬまでの短い時間」M&0 Plays@ベニサンピット

岩松了さんの新作は、なーんとベニサンで秋山菜津子さんに北村一輝さんに田中圭くん!ときたら行かないわけにはいきません。何と贅沢な。手を伸ばせば触れる距離に圭くんだよ!ひゃあ。それにしてもベニサンに行くのって2年ぶりくらいでしょうか。やっぱりいい劇場だなと思います。あのそっけない入口をくぐるだけで演劇への愛を感じます。




自殺志願者を自殺名所の崖まで連れて行くタクシー運転手という噂の立つシミズ(北村)、彼に憧れて近づくコウスケ(田中)、コウスケのナイフで愁嘆場を演じるミヤマ(パトリシア?/内田慈)とドイ(古澤裕介)。シミズに崖まで乗せてくれと頼む赤いトレンチコートの女・フタバ(秋山)。


ベニサン好きのオカンと行ったのだけど、終演後2人でまず「見ながらずっと秋山さんのバッグ欲しいと思ってた!」「トレンチも黒のパイピング可愛いなーと思ってた!」と同じ感想が(笑)。いや〜ホントにレトロでお洒落なバッグだったんですよね(見所そこかよ!)。ええと、物語はとても抽象的で、誰が生きていて誰が死んでいるのか、その境があいまいなまま進みます。「死ぬまでの短い時間」とは、人生そのもののようでもあるし、まさに死と対面してから死ぬまでの間ともとれるし。そして冒頭を除いて、必ず「1対1」の芝居のみ。人間同士で追いつめ合う岩松さんらしい演出だなあと思いました。最初は退屈だった北村さんと秋山さんの関係が、だんだん愛らしく見えてくるのが面白かった。そしてラストシーン、荒涼とした中に触れ合う手の温もり(いや本当は冷たいのか)が一筋の救いのようでした。


ナマ北村さんはね、頭が大きい(またそんな)。タクシー運転手役なので、一瞬帽子を被って出てくるんだけど!それがびっくりするほど似合わないと思ったらすぐ脱いでました(笑)。台詞はさすがに安定感がありますね。下手をしたらベタついてしまいそうなヒロインを秋山さんの湿度が救っている。小さなシーンだけど、黒のシュミーズ(と言うのが似合う)の紐がずり落ちて二の腕にかかってるのがめっちゃセクシーでした。この世代でダントツに素敵なお姉様です。色気では互いに負けないお2人。なのにちょっとぎこちないダンスまで見せていただき(笑)なかなかお似合いでした。圭くんもすごく頑張ってて、間近であのキャワキャワなボテ唇を拝めてありがたかったです……なんていう感想はご本人に失礼かと思いますが、正直、コウスケ自体がウルサイ存在で魅力の見つけどころが微妙だったので……いやホント頑張ってたです。


「ミュージカル」と聞いていたので少し怖れていましたが、生バンドと生歌の入る音楽劇でした。でもその演出は正直……ダサ。私のもっとも苦手とする歌詞と歌い方だったんです、すみません。中で「パトリシア、シンデレラ(死んでれら)」の歌は可愛かった。