「少年B」キレなかった14歳りたーんず@こまばアゴラ/「す●し、とまる」蜻●玉@日暮里d倉庫/「テ●スコートコミック10 防水と塗装」テニ●コート@シアターイワト

GWは芝居をけっこう観た。ちょっとのきっかけでずるずると芋づる式に観ることになるのが芝居です。




「少年B」は、宮沢章夫さんの「14歳の国」(昔「演技者」でもやりましたよね。三宅くんの主演だっけ?私も好きな作品です)に影響を受けた若手演出家たちが14歳をテーマに新作を持ち寄ったイベント。青年団の柴さんが手がけた「少年B」を選びました。いわゆる「少年A」にはなれない「キレなかった少年B」のくすぶる日常と、その成人後の今が交錯する75分。「何者かになりたくてもなれない14歳」の自意識が重くなく描かれる。途中、まちがって猫を轢いてしまった主人公(岡部たかし)が悶々とする夜中の場面で、舞台を5分以上?真っ暗にする演出も効果的でした。ただ、成長した主人公が、まだ何者かになる夢にしがみつく大人でいる、という終盤はトーンダウン。その往生際の悪い(?)自意識には共感できるけども、描き方が熱血になってしまったので。こういう芝居の終わらせ方って難しいなぁと思いました。


役者さんは達者。久しぶりに山の手事情社山田宏平さんを観ました。7〜8年ぶり?あの高い声も容姿も変わってない……ナツかす〜……。得体の知れないクラスメイトの玉井くん(玉井勝教)、岡部くんが好きな井上さん(井上みなみ:実際14歳らしい)よかったです。次の蜻蛉玉を観ても思ったけど、最近の小劇団はミニマムな黒い空間でミニマムにお芝居をするのがいま流行りなんだろうか?それとも私が観てるのがぜんぶ青年団系だから(笑)?


とんぼ玉。自殺未遂した男(用松亮)とその姉や恋人の話、「しろくまとくろくま」という絵本の世界が交錯して進みます。「すこし、とまる」というのは、「少」と「止」を組みあわせると「歩く」になる矛盾、を発見したことからつけられたタイトルだそう(なるほど)。作者の島林さんの頭の中に強烈にあるモチーフがさまざまに組み合わされ、観る側はそれを解釈しきれないものの、不愉快ではない。不愉快ではないが、引き込まれて何かを思う、というほどでもない。あくまで「島林さんを見せてもらいました」という感想でしょうか。五反●団の前田司郎さんとのアフタートークが面白かったなー。前田さんは最初から「メルヘンがダメなので絵本のパートに入り込めない」と浮かない顔で、島林さんが場面に込められた意味を熱く説明すると「あ、そうだったの?」と初めて納得し「わかんないよお」とへらへらし「オレの感想は信用しないほうがいいよ」と逃げ、そのへらへらさと、でもはしばしに見える鋭さが素敵でした。「見せたい世界観がゾウのサイズだとして、でも芝居は90分とかだから小さな檻でしかない。そのときに大きなゾウを檻のサイズに縮めたら意味がない。そのどこか一部分を檻に入れて、その向こうに大きさを想像させる、それが芝居の面白さ」という話は基本の基本でありながらたいへん腑に落ちました。

グレート生活アドベンチャー

グレート生活アドベンチャー

前田さんの芥川賞候補作……ですが、無謀。これで獲れるわけないって(笑)!!!旧世代のマッチョオヤジ・石原都知事にこのダメ主人公の心理が理解できるわけない、とシロートでも分かる(笑)。私はこのダメすぎのふにゃふにゃのくだらなさ、好きです。まさに「ゾウの一部」を書き込んで、その向こうを想像させる作品。


静かなエンゲキに飽きてきたところで、楽しいテニス●ート☆。ただのナンセンスなおばかコント集です。今回はアタリでしたねぇ。父親が娘の恋人と会うんだけど、彼は死体だった(!)というシュールなネタが最高でした。娘いわく、死に顔が安らかで究極の癒し系でそこが好き、なんだそうです(笑)。……とか説明するとつまんないけども。役者さんも腕をあげてきた感じ。下手なひとは下手なりの味わいが出てきた、というか。すでにファンけっこうついてますよね。このままゆる〜くブレイクしてほしい集団です(笑)。