秋深し、隣は何を見る人ぞ。

最近の映画の充実っぷりすごいですね。とにかく見ないとすぐ終わっちゃうし!!!


「怒り」:原作の良いところをうまく掬っている正攻法の重さ。いちばん重点的に描かれてはいない東京パートがいちばん客席のエモーションを支配している、と思うのは、私が女性観客だからでしょうか?綾野剛はこういう引きの演技がほんとにいいなあ。沖縄、スターキャストの中でひとり無名の彼、期待以上の素晴らしさだった。原作読んでたらもっとイケメン男子をキャストしそうなところを、ここまで朴訥な子にするとは。でもすずちゃん(真っすぐな芝居、素晴らしかったですよ)と並ぶならこっちのほうがいいですよね。千葉パートは宮崎あおいの凄みにすべて持っていかれました。ただの熱演は好きではないけど、それ以上の覚悟を感じる芝居だった。映画版でも原作同様、犯人の闇が(芝居自体はすごいけど)分かりづらいまま。とはいえ闇だからそれでもいいとも言える。
「FAKE」:阿佐ヶ谷ユジクの上映最終回に間に合ったー!佐村河内家に密着したドキュメンタリー、いや、本っ当に面白かったわー。こんなにケーキが出てくる映画初めてww。こんなにネコが可愛い映画も久しぶりw。感想をガンガン検索したくなる映画なんだけど「飼い猫が幸せそうなので、きっと佐村河内夫妻はいいひとのはず」という感想がいちばん腑に落ちました(笑)ネコはウソつかないよね!!彼がどういう人か、ということも面白いし、ラストの意地悪さもたまらないんだけど、単純に「他人の家」って面白いなと思う。ハンバーグと豆乳の夕食の場面、ものすごく印象的でした。佐村河内さんは結局、善人で、音楽が好きで、ダサくて、ただただ自分に酔うのが過度に好きなおっさん(だからはずみで話を盛るし、ウソもつく)なんだな思った。つくった曲がもう分かりやすくダサかったですし。いやー面白かったわ。
「人生の値打ち」:お勧めされたイタリア映画。とあるひき逃げ事件を、複数の視点から繰り返してあぶりだす手法。イタリア人のメンタリティやライフスタイルが面白いし、お話もうまく組み立てられていて本当に飽きない。ヒロインの女優さんがオーディションで選ばれた新人とは思えない堂々とした演技&キュートさ!アンジェリーナジョリーをもう少し正統派に寄せたような魅力。あと第二章の富豪婦人役も、本国では名女優として有名な方だそうだが、美形な高畑淳子みたいですごく素敵ー。ハスキーでとろんとした喋り方がたまらん。
「グッバイ・サマー」:ミシェル・ゴンドリーの映画は割と好きなのだけど、これもまったりとオフビートで、独特の空気感の中に、14歳男子のみずみずしさがつまっててほのぼの。何より自作のキャンピングカーが可愛すぎる!主人公のダニエルくんがアジア人経営のマッサージ店で髪の毛切る(剃るww)場面が最高でした。まー例に漏れず日本と韓国ごちゃまぜな描かれ方だったけどな・・。それまで男子主観だったものが、急に主人公が片思いする女子生徒の視点になるラストシーンが好き。
「湯を沸かすほどの熱い愛」:これまた激お勧めされて観に行ったけど、もう問答無用に観れ。熱くてみっちり技巧がつまっててそれでも全くうっとうしくない傑作。りえさんも杉咲花ちゃんも素晴らしいが、それにひけをとらず次女の鮎子ちゃん役の子が素晴らしすぎた。余命ものはどうしても重くなりがちだし、技巧をこらしまくっている脚本だし・・の中で、いいかんじに気の抜けているオダジョも素晴らしいし、松坂とーりの「普通の映画」での活かし方ってこれだろーなというところもドンピシャだし、え、お父さんに似てない?と思った駿河太郎さんと娘の探偵助手ちゃんも素晴らしいし・・素晴らしいしか言いようがないです。周り号泣しまくってて、私も思い出し泣きできるほど泣いた(りえさんの渾身の一言は・・もう・・)。・・けど、御涙頂戴の手法が巧すぎてぜんっぜん嫌みじゃないんだよな・・え?っていうラストシーンふくめwwほんとに素敵なファンタジーです。


あとは「何者」「永い言い訳」「オーバー・フェンス」「淵に立つ」「この世界の片隅で」・・まだまだありすぎてこまる・・・